20世紀初頭、芸術の都パリには、夢を抱いた若い芸術家たちが世界中から集まりました。とくにモディリアーニやシャガール、キスリングなど、第一次世界大戦前後にモンパルナス周辺に集まった異邦人画家たちを「エコール・ド・パリ(パリ派)」と呼びます。彼らは互いに影響し合いながら、パリの景色や風俗を個性豊かに描き出しました。一方、大正から昭和にかけたこの時代、藤田嗣治をはじめとして、日本でもたくさんの画家たちがパリを目指して旅立ちました。その目的は十人十色。パリ画壇の頂点をめざして、西洋人と同じように認められようとした海老原喜之助。画家たる者一度くらいはパリを見たいと欧州遊学したのは、日本画の巨匠、土田麦僊です。「パリの現在」を日本に伝えようとした里美勝蔵や佐伯祐三は、その後の日本洋画に大きな影響を与えました。本展では洋の東西を問わず、パリに憧れ、パリを描いた画家たちの足跡を約110点の作品や資料によって紹介します。今なお私たちを魅了して止まない、芸術の都パリ。百年前にタイムスリップして、画家たちのパリをお楽しみ下さい。