荻須高徳は1901(明治34)年稲沢市に生まれ、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で学んだ後パリに渡りました。フランスをはじめヨーロッパ各地で作品が所蔵され、画家として自立できた数少ない日本人として、パリで半世紀を超える制作活動を続けるとともに、日仏の文化交流にも努め、1986年(昭和61)年パリに没しました。現在、荻須の作品は、日本国内の美術館に数多く収蔵されており、近年ますますその評価が高まっています。
本展は、荻須の没後20年を機に、東京美術学校で同級生であった荻須高徳と小磯良平の両記念美術館館で共同企画したものです。国内の美術館所蔵作品と新たに所蔵先が明らかになった作品を中心に、荻須の画業全体が見渡せるよう、油彩画73点、水彩画4点、素描14点の計91点で構成されています。このうち、過去50年間の主な荻須展に出品されていない作品が約30点含まれており、新しい荻須の一面もご覧いただけます。人々の生活の歴史が積み重なった街並を温かいまなざしと筆致で描き続けた荻須高徳の世界を、ぜひご高覧ください。