宇宙に浮かぶ星たちの無限の時。夜空に一瞬の命を輝かせる花火。
ダイナミックな色彩と透明感が織りなす作品は、悠久の光のドラマへと私たちを誘います。1926年徳島県阿南市に生まれた吹田さんは、小学校教師として出発し、戦後の先駆的な版画教育を切りひらきます。
その一方、木版作家として国内外での評価を高め、1967年サンパウロ・ビエンナーレ展では版画部門最高賞を受賞。
多摩美術大学に日本発の版画科を設置するなど、現代版画のリーダー的存在として活躍します。世田谷美術館との協同企画による本展はこれまでにない規模で、作家の全貌にせまります。戦後図工科の貴重な資料もまじえ、現代版画と美術教育へ情熱を注いできたその半世紀を、しっかり見据えたいと思います。