本企画の目的は、近代日本のある地域にとって、軍隊、さらに戦争があったことがどのような影響を与えていったのかを、かつて陸軍の歩兵連隊があった佐倉という地域を素材に明らかにすることにあります。
まずはじめに、江戸時代の佐倉城が明治の兵営へとどのように変化をとげていったのかを考古学・建築史学の立場から明らかにします。続いて近代の人々が、普通の若者から兵士へとどのようにして作り替えられていったのかを、軍隊教育、兵営生活に関するさまざまな資料を用いてときあかします。
また戦前の佐倉の町は、連隊と非常に深いつながりをもっていました。多くの商店が連隊相手の商売をすることでなりたっていました。聞き書き調査の成果を用い、連隊と佐倉の町のありかたを示します。
佐倉連隊は日本でもっとも歴史の古い連隊の一つとして西南戦争、日清・日露戦争、さらには太平洋戦争に参加して戦争末期のフィリピン・レイテ島で壊滅しました。連隊が参加した戦争の実相を、厳密な考証にもとづくモノ・写真・各種統計資料などから明らかにします。