金子潤は、1942年に名古屋市に生まれました。1963年に画家を志して渡米し、1964年ロサンゼルスのシュナード美術学校で土と出会い、ジュリーロマンスの工房で陶芸を学びます。その後、アメリカ現代陶芸の巨匠ピーターヴォーコスに学び、1969年にはアメリカにおける楽焼の第一人者ポール・ソルドゥナーのもとで学びました。1964年に権威ある全米陶芸展で入選を果たし、その後は多くの展覧会に招待を受けるようになりました。1979年は伝統あるクランブルック美術大学に教員として招聘され、また1984年には、ボストン美術館で開催された「アメリカ現代陶芸の動向」展において、アメリカを代表する15人の作家のひとりに選ばれています。
金子作品の特徴として挙げられるのは、単純な形態に施された鮮やかなストライプ、ドット、そして陶芸としては巨大でモニュメンタルな「タンゴ」シリーズなどがあります。1986年からネブラスカ州オマハでアトリエをかまえ活動を続け、近年では絵画作品の個展を開いたほか、ガラス作品、オペラの舞台や衣装を手掛けるなど多彩な活動を展開しています。
本展覧会では金子の近作を中心に紹介します。彫刻的志向が強いアメリカ陶芸において、大きなスケールとともに、独特な加飾の世界を展開する陶芸作品に加え、さらに絵画やガラス作品も紹介し、明快な色彩と形態、そしてダイナミックな手法と表現による金子芸術の魅力に迫ります。