このたび、ブリヂストン美術館では、「坂本繁二郎展-石橋美術館開館50周年記念」を開催します。明治の終わりから第二次世界大戦後まで、60余年にわたって絵ひとすじに生きた洋画家、坂本繁二郎の全貌を150点の作品と30点の資料で紹介する、24年ぶりの本格的な回顧展です。
坂本繁二郎(1882-1969)は、日本の洋画が成熟へと向かう時代の流れの中で、西洋の模倣ではない独自の道を選びました。彼はフランス留学を機に、日本の豊かな自然と奥ゆかしい人情、すぐれた美術を再発見し、自分が日本人であることを誇りと自覚をもちました。そして郷里の福岡県久留米市に近い八女市で、自然やものとじかに向き合い、創作に没頭します。彼が描いた題材は、人生の歩みとともに、日常のシーンから、牧牛、馬、身のまわりの生活用品、能面、そして月へとゆるやかに変化しています。その作品のどれもが、自然とさらに人間を見つめることから生み出されたものです。
この展覧会では、彼の絵に対する情熱と静謐な画面の魅力をアピールします。それらは今なお多くの人を魅了するにちがいありません。