佐野美術館は昭和41年(1966)、創立者佐野隆一の収集した東洋古美術を収蔵する美術館として開館しました。その分野は、日本画・書跡・陶磁器・日本刀・彫刻・能面・青銅器・古鏡・装身具など多岐にわたり、各々が系統だてて収集されています。特に日本刀は多くの名品を所蔵しています。
佐野隆一は静岡県現三島市に生まれました。父米吉は和菓子舗を営む一方、書画を集め愉しむ趣味人でもありました。隆一の美術に対する深い造詣は、父の影響を受けて培われたものといえます。隆一は36才のとき鐵興社を興し、数々の先進的な発明や開発により、日本の近代化学工業の一翼を担いました。また隆一は、事業の傍ら日本刀を始めとする美術品を収集しました。それは、美術品に先人の優れた技や創造の精神を学び、自身の事業や心身の鍛錬に活かそうという姿勢でした。
今年当館の創立40周年を迎えるにあたり、佐野隆一の収集品および開館以降に収蔵された作品約3000点の中から、名品約100点を一堂に展示いたします。本展を通じ、隆一の進取の気風、創意工夫の精神を継ぐべく歩んできた当館の40年を振り返り、今後の新たな歩みへとつないでいきたいと思います。