おおらかな女性像「ナナ」シリーズで知られるニキ・ド・サンファル(1930-2002)。夫で彫刻家のジャン・ティンゲリーとの共作であるポンピドゥーセンター(パリ)横の「ストラヴィンスキーの噴水」など、世界各地にあるカラフルでユーモラスな造形は私たちを心から楽しませてくれます。
フランスで生まれ、アメリカで育ったニキは、絵の具を埋め込んだ石膏レリーフをライフルで撃つ「射撃絵画」(1961年)でヌーヴォー・レアリスム(新写実主義)の一員として一躍有名になり、その後もその自伝的な作品傾向からフェミニズム・アーティストの先駆者としてしばしば注目を集めてきました。近年は、初期の絵画作品から晩年の「タロット・ガーデン」など建築的作品に至る多彩な活動が、再び脚光を浴びています。
本展は栃木県那須郡のニキ美術館およびドイツ・ハノーバー市のシュプレンゲル美術館の所蔵作品を中心に、立体作品、初期の油彩など約100点でニキの創作活動を回顧し、喜びあふれる作品群と情熱的な人生を紹介します。