本展では、中国の漢時代(紀元前二〇六年~紀元後二二〇年)から清時代(一六四四年~一九一二年)にかけて陶器で作られた一一〇余点の「明器」をご紹介します。
中国では古くから、死後も魂は不滅で、墳墓が永久の魂の住まいであると考えられてきました。明器は生前の生活愛用品を模した縮小サイズの副葬品で、実用性は失われています。死者が現世の延長として来世でも不自由なく暮せるよう、お墓に納められました。人物像や動物は「傭」と呼ばれ、これも明器の一種です。
精巧な造りの楼閣やドールハウスを彷彿させる住居。さらにはミニチュアの生活用具に、舞い踊る人々など、明器や傭は各時代の暮らしぶりを伝える貴重な手がかりでもあります。
古代の人々の生きる喜び、そして来世への夢が託された明器の世界をご堪能下さい。