常に時代の先端にいて、同時代の美術をリードしてきた吉原治良(よしはら・じろう、1905-1972)は、日本の近・現代美術を代表する画家です。その生誕100年を記念して、吉原の全貌を紹介する回顧展を開催いたします。
吉原治良は、戦前期のみずみずしい静物画の時代を経て、新しい美術傾向の二大潮流だったシュルレアリスムと、抽象表現を一人で横断し実践してきました。戦後は、「具体」グループを率いて、20世紀後半で最も重要な美術運動の一翼を担い、日本美術史上まれにみる存在だったといえます。吉原の足跡は、そのまま現代絵画への軌跡ととらえることができるでしょう。
本展では、吉原治良の代表作を網羅するだけでなく、豊富な未発表資料も含めた約190点の作品によって、そのあくなき創造力と、みずみずしい詩的感性をあますところなく紹介いたします。