「赤ずきん」の物語を知っていますか?
ヨーロッパで生まれ、世界各地に広まり、世界中の子どもたちに読まれている物語です。世界中を旅しながらこの絵本を集めてまわった夫妻がスイスのチューリッヒにいました。ヴァルトマン夫妻です。彼らが集めた世界中の「赤ずきん」コレクションは、ドイツ、ケルンのベッドタウンのトロースドルフ市にある絵本美術館に寄贈されています。ヨーロッパで随一の絵本美術館です。
当展覧会では、「日本におけるドイツ年」を機会に、このトロースドルフ絵本美術館の絵本資料コレクションを、大きく2つのパートに分けてご紹介いたします。
1つ目は「赤ずきん」に関する資料のご紹介。世界各地の「赤ずきん」に関する資料を見渡してみると、この有名な物語には様々な解釈があること、絵本が国・印刷技術・流行などの社会背景を映し出していることなどが分かります。私たちがよく親しんだ赤ずきんちゃんはもちろん、他にも犬を主人公にしたもの(ウェグマン)や、オオカミよりも強い赤ずきんちゃん(ファーゲルリ)など、私たちのイメージを覆すような絵本もあります。
2つ目は他の名作絵本に関する資料のご紹介。レオーニ、ヤーノッシュ、ハイネ、シュレーダーといった著名な絵本作家の原画をご覧いただきます。著名な作家ばかりでなく、現代ドイツの絵本作家の取り組みもご紹介します。絵本を通して友達を作る女の子の物語をつづったハイデルバッハの作品は「絵本の中に絵本の世界」が広がる、ユニークな作品です。また立体モデルを作成して撮った写真に絵を描きこんで、三次元的なファンタジーの世界を作るケールは絵本製作を緻密さを物語ります。絵本の世界の幅広さが伺えます。
本展を見ながら絵本をめぐる各国の文化の違いについて家族でお話してみるのはいかがでしょうか?