1887(明治20)年、栃木市に生まれた清水登之は若くして単身渡米、はじめシアトルで、1917(大正6)年からはニューヨークで働きながら美術を学びました。ニューヨークではアート・スチューデンツ・リーグでジョン・スローンに師事、ユーモアとペーソスにあふれた庶民生活を描く作品は高く評価されています。1924年、家族と共にパリに移り、キュビスムをはじめとする新しい絵画に触れながら、物語性豊かな作風を発展させました。1927(昭和2)年に帰国、独立美術協会の創立に参加し、その中心メンバーとして活躍、日本的な主題に取り組むと共に、中国や東南アジアをも旅し、各地の人々や風景、さらには日本軍の作戦行動を記録する作品も描いています。1945(昭和20)年12月、疎開先の生家で亡くなりました。
本展覧会では栃木県立美術館が所蔵する120点に及ぶ清水登之の全作品を一堂に展示します。あわせて清水登之と交流のあった田中保、石垣栄太郎、古田土雅堂、ジョン・スローンらの作品と関連する資料類を展示し、清水登之の画業とその生きた時代を紹介します。