滋賀県立近代美術館では4月11日(火)から5月21日(日)まで「生誕120年 川端龍子展 豪快、優美、奇想。 異端児は会場芸術をえらんだ!」を開催します。近代日本画史上特異な活動を行い、「異端」とも評されながら数々の傑作を残した日本画家・川端龍子の大回顧展です。
1885(明治18)年6月6日現在の和歌山市に生まれ、幼少より絵を描くことに興味を抱いていた龍子は、家族とともに1895(明治28)年に上京した後、画家を志すことになります。日露戦争の開戦の年となった1904(明治37)年、白馬会洋画研究所に入り、ついで太平洋画研究所において本格的な洋画を学ぶとともに、『ハガキ文学』『東京パック』といった雑誌の挿絵を描き、明治年間を通じて挿絵画家として活躍しました。
1913(大正2)年、洋画を学ぶため龍子はアメリカに渡りますが、この渡米が契機となり、翌年の帰国後日本画へと転向することとなり、日本美術院の展覧会である院展を舞台に日本画家としての地歩を固めていくこととなります。日本美術院同人となった後も、「繊細巧緻」が主流であった院展の作風に飽き足らず、展覧会という会場において、観衆である大衆に訴える力を持つ作品を志功し、大作主義による「会場芸術主義」を掲げ、その実践の場を得るため、美術院を脱退し、1929(昭和4)年、自ら日本画団体・青龍社を創設しました。その後1966(昭和41)年に80歳で世を去るまで、生涯にわたり精力的に活動を続けました。
本展では、龍子の画業を、その代表作を通じて振り返り、近代日本の画壇において稀有な存在であった一画人の足跡をたどります。思わず息を呑むような大作の数々をぜひご堪能ください。