ニキ・ド・サンファル(1930年~2002年)はフランス人の父とアメリカ人女優との間に生まれ、美貌だったこともありモデルとなり「ライフ」や「ヴォーグ」などの雑誌の表紙を飾りました。しかし25歳(1955年)ころ、A・ガウディの作品やF・シュバルの作品「理想宮」との出会いが“芸術”に目覚める転機となります。その後、ニキが現代美術のアーティストとして認められたのは1961年の「襲撃絵画」からでした。石膏で作ったレリーフに絵画を埋め込み、それを本物のライフル銃で撃ち、絵の具を飛び散らせて仕上げるという手法でした。それ以降、1960年代フランスで時代の新しいリアリティを追求しようとして興ったヌーヴォー・レアリスム(新写実主義)のアーティストとして紹介されるようになります。また、ニキの彫刻作品は原色を多用しポップな要素を多く持つ事からポップアーティストの一人として高い評価を受けました。そして、現在、ニキ・ド・サンファルの芸術的活動によって20世紀美術における重要性が再認識されはじめています。
本展ではニキ美術館及びシュプレンゲル美術館の所蔵作品を中心に初公開の作品を含む彫刻・絵画など合計約90点を一堂に展観し、自分自身の内面に肉薄した作品を創り続けた一人の異才女性芸術家の全貌に迫るものです。