私たちにとって、風景画はなじみ深い画題です。
ひとくちに風景画といっても、自然の美を描く近代的な絵画だけが風景画ではありません。間口を広げて、幅広く風景を描いた絵ととらえれば、地図、絵図、地誌なども含まれます。また地域の象徴としての風景を描いた絵画がありました。文学的な名所や景勝地を描く作品も、時代とともに場所を変えながら、くり返し描かれています。また、私たちは風景を変わらないものと思いがちですが、実際には天変地異や開発によって、風景は変化します。変わりゆく風景や新たに生まれた風景に目を向けた作品もあります。
この展覧会では、東北地方の風景を描いたさまざまな絵画資料100点あまりをご紹介します。それぞれの風景画はなぜ描かれたのか、どのような意味を担ったのか、それを見た人々の思いなどを考えながらご覧いただきたいと思います。