マリア・テレジア(1718-80)は、ハプスブルク家の宗主であり神聖ローマ帝国皇帝・カール6世の長女としてウィーンで生まれ、女性としてははじめてのオーストリア・ハプスブルク家を継承しました。その継承をめぐっては、近隣諸国の侵略戦争に翻弄されましたが、傑出した手腕によって軍隊の指揮を執り、戦乱を平定しました。そしてこれまでにない政治改革をすすめ、オーストリアの近代化の道筋をつくったといわれます。一方で生涯に16人の子どもをもうけ、フランス国王ルイ16世に嫁いだマリー・アントワネットはその末娘にあたります。オーストリアでは、現在も「国の母」として広く慕われる人物です。また、マリア・テレジアが居城としたシェーン・ブルン宮殿は、ヨーロッパ屈指のロココ式宮殿として世界遺産に登録されています。
本展では、18世紀ウィーンを舞台に開花したマリア・テレジアとその家族の優雅な宮廷生活を、ウィーン美術史美術館およびシェーンブルン宮殿秘蔵の絵画や調度類、衣装や宝飾品の数々をとおして紹介します。