清方は、17歳の頃、「文藝倶樂部」に掲載された樋口一葉の小説『にごりえ』(明治28年)や、『たけくらべ』(明治29年)などを読み、その魅力に惹かれました。
泉鏡花の随筆『一葉の墓』(明治33年)を読み、築地本願寺にあった樋口家の墓に詣で、写生した際に、「墓標の高さ、わがたけにして乳のあたりまで」と、その余白に記しています。
「一葉女史の墓」に主人公の美登利が、水仙の作り花を手に墓に寄り添う姿は、この時のスケッチによるものです。
今回は、「一葉女史の墓」をはじめ、面影を写した「一葉」などをご覧いただきます。