この展覧会は、「製作は密室の祈り」ということばを残し、芸術と宗教の融合を目指した孤高の異才、村上華岳の大規模な回顧展です。
華岳は明治21(1888)年大阪市に生まれましたが、幼くして両親と別れ、七歳の時に叔母の婚家である神戸花隈の村上家に引き取られました。幼い頃から画を得意とし、36年京都市立美術工芸学校に入学、同校研究科を経て、42年、この年新設されたばかりの京都市立絵画専門学校本科に進学します。
大正7(1918)年、国画創作協会の結成に参加し、同展に話題作を発表。しかし、画壇活動が作家の自由な創作を束縛し、不純なものにするとの考えと、持病の喘息の悪化から、15年に画壇を離れ、翌昭和2(1927)年神戸花隈に隠棲しました。以後は、自己の精神的深化を求め、観音像や六甲の山並、牡丹などを題材に独自の水墨画の世界を深めますが、喘息が悪化し、昭和14年の晩秋同地で没しました。
本展は代表作約150点に書、素描、下図や書簡類などを併せて展示し、華岳芸術の全貌を紹介します。
※6月20日に作品の展示替えを行います。