日本における絵はがきの普及は,明治6(1873)年に逓信省が発行した官製はがきに始まります。明治33年になって私製はがきの発行が許可されると,明治37年の日露戦争を契機に空前の絵はがきブームが到来します。その後,絵はがきは人びとの生活に定着し,多彩なジャンルを生み出してきました。有名無名を問わず,日本画家や洋画家,挿絵画家などが自由な発想で描いた絵はがきには,奇抜な構図や斬新なデザイン性に加え,日本人の愛したユーモアが込められています。
こうした日本の絵はがきに魅了されたレナード・A・ローダー(米国の化粧品会社エスティ ローダー社の社長)は,25年にわたり約25,000枚を収集し,平成14(2002)年,そのすべてをボストン美術館に寄贈しました。
この展覧会では,ボストン美術館が所蔵するそのコレクションから350点を精選し,「絵はがきの誕生」「日露戦争期の絵はがき」「画家による絵はがき」「アール・ヌーヴォー」「アール・デコ」「ユーモアの世界」「年賀状」「広告としての絵はがき」の8章で構成,展示します。
小さな絵はがきに凝縮された日本の美をお楽しみ下さい。