人々は昔から自然災害、生命の誕生や死といった状況に直面すると、自然や霊、神仏といった人間の力を超えた存在に対して、祈りやまつりおよび、供養を行い、なだめたり、感謝したりすることで災いを除き幸福を招こうとしました。それらは、彼らがそうした「見えざる力」に対し、恐れや驚嘆、あるいは崇拝といった畏敬の念を示していたからに違いありません。
本展では、生命の生成に関するまつりの中で用いたとされる縄文時代の石棒をはじめ、水霊信仰に関わるとみられる古代の土馬、さらには死者の供養のために製作されたと考えられる中世の木製卒塔婆や近世の石製五輪塔など、堺市内の各遺跡から出土した祭祀や儀礼に関わる遺物を紹介します。
科学万能といわれる現代ではありますが、展示品をとおして人と自然や信仰の形との関わり方を見直す機会となれば幸いです。