日本を代表する山岳写真家であると同時に、昆虫生態研究や雪形研究など、カメラによる観察記録を続けたネイチャーフォトの先駆者・田淵行男。 当館では、幅広い分野に偉大な業績を残した田淵の生誕百年を記念して「ナチュラリスト・田淵行男の世界」展を開催いたします。 田淵行男は1905(明治38)年に鳥取県黒坂村に生まれ、自然に恵まれた環境で育ちました。その後、大学で博物学を修め、 教員として自然の中で学ぶことを実践しながら本格的に山岳写真の撮り始めました。‘45年7月、長野県南安曇郡に疎開をした彼は、 終生安曇野の地に定住します。以後、「自然から読み取り学ぶ知識が最も正しい」という独自の信念のもと、 壮大な北アルプスと緑豊かな安曇野をベースに、高山蝶やアシナガバチなどの生態を粘り強く観察。 その成果は美しい写真と流暢な文章によって記録された『ヒメギフチョウ』、『高山蝶』として結実し、 わが国の写真史に今なお燦然と輝き続けています。本展では作品と共に愛用の写真機材、登山用具、 写真集の絵コンテなど約200点を展示し、日本の自然を慈しみ続けた写真家・田淵行男と自然写真の魅力を探ります。