『構造社』は、1926(大正15)年に彫刻家の斉藤素厳と日名子実三を中心に、彫刻と建築との融合を目指して設立された国内初の彫刻の在野団体です。
福井市との関係では、本市名誉市民第1号の雨田光平(1893-1985年)がこの『構造社』に属しており、今回もその主要メンバーとして第4回と第5回の構造社展に出品した作品4点が展示されます。
彫刻団体として発足した『構造社』ですが、後には彫刻の他、画家の神津港人を中心に「絵画部」を併設するとともに、「彫刻部」や「絵画部」に属さない部として「雑の部」を設けるなど、その活動は大変ユニークなものでした。しかしながら、これまでほとんど紹介される機会はなく、今回が初めて本格的に紹介する展覧会となります。
そこで本展では、『構造社』およびそこに関わった作家たちの活動を、1926(大正15)年から第二次世界大戦前までの、特に昭和初期の10年間に焦点をあてて紹介するとともに、『構造社』の特徴でもある「綜合試作」にみられる建築との関わりや、メダル制作やマネキン制作などの商業美術との関わり、さらには三田平凡寺が主催した趣味の団体「我楽多宗」との関わりなどを多角的に紹介し、当時の混沌とした時代状況と彼らの独特な活動の全容を展観します。