" 現代日本画壇を代表する画家・平山郁夫画伯は、1959(昭和34)年の院展に「仏教伝来」を発表して以来、玄奘三蔵の求法の旅を描いた奈良・薬師寺玄奘三蔵院伽藍「大唐西城壁画」や奈良大和路を始め、讃岐路、熊野路、吉備路、出雲路などを画題とし、仏教を代表する文化とその交流を重要なテーマの一つにしてきました。また近年は、我が国の文化の宝庫である古都・京都に注目し、「洛中洛外」という古典的なテーマに「平成の」と銘打った独自の洛中洛外図を表現すべく、精力的にその制作に取り組んできました。
本展は、1976(昭和51)年に新作22点を集めた「平山郁夫シルクロード展」以来の29年ぶりの個展となり、画伯の眼で見た京都、画伯が自ら感じた京都を紹介する新作67点(本画37点・素描30点)からなる大規模な展覧会であります。特に「平成洛中洛外図」の屏風一双は本展の柱として位置付けられ、京都御所を中心に描いた右隻は""文化の権威の象徴""として、二条城を中心に描いた左隻は""権力の象徴""としての作品であり、画伯独自の構成による素晴らしい出来栄えとなっています。
日本文化のふるさと京都。現代の視点で描かれた本展の作品群は、京都の変わらぬ美しさをみせてくれるとともに、歴史的文化的な時の流れを感じさせてくれることと思います。"