彫刻家高田博厚は、2歳から18歳までの多感な時代を福井で過ごしました。
早くから哲学や文学、芸術に目覚め、後の東京時代やパリ時代には、当時の優れた数多くの知識人と交友を深め、 彫刻家としてのみならず、文筆家、思想家としても活躍しました。
フランスの美の伝統や近代彫刻の巨匠達の作品に触れ、また古代彫刻で彫刻の法則を感得した高田は、対象の中心に潜む、本質の普遍性を形として表現しようと、生涯模索し続けました。
この常設展「高田博厚の世界」は、東西の知識人との幅広い交友をもとに、孤独と貧困の中、ひたむきに粘土と格闘した高田博厚の全貌を、肖像作品を中心に、彫刻約80点、デッサン約10点と映像などで紹介します。
展示室は4室で構成されています。第1展示室では、映像によって高田の彫刻人生が概観でき、第2展示室では、渡仏前の画家や詩人との交友と、彼らをモデルにした肖像作品を間近に見ることができます。また第3展示室では、ドキュメントパネルと作品の象徴的な展示によって、高田の彫刻人生において最も充実したパリ時代が紹介されており、彼の芸術世界を知ることができます。次の第4展示室では、「福井と高田博厚」「素材の違う作品」「彫刻のできるまで」などの小テーマが設けられ、高田の人物や彫刻を別の角度から理解することができます。このほか、屋外にも作品が展示されています。