この秋、上野の森美術館では、世界で最も注目される画家の一人、ジグマー・ポルケ(1941年、旧東ドイツ生まれ)の展覧会を開催します。
ポルケは1960年代から活躍をはじめ、写真やアメリカン・ポップアートを制作に取り入れながら、網点ドットによる絵画、カンヴァスの代わりにプリント布地や透明な支持体に描いた絵画など、つぎつぎと実験的な手法を開拓して現代絵画の世界をリードしてきました。
同じドイツ人アーティスト、ゲアハルト・リヒターやアンセルム・キーファーらとともに世界的に高く評価され、1986年の「ヴェネツィア・ビエンナーレ」で金獅子賞を受賞。2002年には「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞しています。
今回のポルケ展は、今年・来年と行われる「日本におけるドイツ年」に合わせて開催されるもので、日本ではじめての本格的な個展となります。
初期の代表作「不思議の国のアリス」からこの展覧会のために現在制作中の新作まで、ポルケ自身が選ぶ約30点の大作が上野にやってきます。種々の素材とテクニックを自由に駆使しながら、日常生活から童話、歴史、戦争にいたるさまざまなモチーフを画中に取り込み、豊かなイメージを紡ぎ出す “絵画の錬金術師” ジグマー・ポルケの世界をご堪能ください。